気持ちから若くいてほしいそう

「なんでそんなもん見てんの?」突然の言葉に驚いて顔を上げると、夫と目が合う。コスメを見てくるからと、喫煙スペースに置いてきたんだけど、中々迎えに来ないから痺れを切らして突撃してきたらしい。

「んー、お母さんにプレゼントしようかと思って」60代用化粧品から目を離さずに言う。「お義母さんに?何でまた急に」不機嫌丸出しだった顔が、今度は困惑の表情に変わる。

「最近『年だわー』とか『もう皴だらけね』とか、そういう発言が多くなってきたのよ。まだまだ元気でいて欲しいから、プレゼントすれば綺麗でいることを意識して、若くいられるんじゃないかと思ってね。何事も気持ちの問題って大きいし」

「そういうことか。別に隠さなくてもいいじゃないか。俺も大賛成だよ」そして笑顔になる。

「別に隠してた訳じゃないよ。男の人が選ぶなんて、つまんないかと思ってね」

「あっ、それはそうだな」「よし、これにしよう。もう決めたから、それじゃあ一緒に会計すっか」二人仲良くレジへと向かう私も、笑顔だった。